残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
橘玲
7つの習慣は「あなたは変われる」 「もっと良くなれる」というで我々を魅了するが、本書「
残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 」は「能力は開発できない」「”わたし”は変えられない」「でも成功できる」と主張する。
自己啓発書や人格改造のセミナーは一時はやる気にさせてくれるが結局は裏切られる。我々はどうしていつまでも不幸で満足できないのか。なぜこれほど世界は厳しく残酷なのか。本書はその謎を「心が進化によって生み出された」という考え方を元にしてひも解いていく。
本書の内容を簡単にまとめるとこうなる。
- この世界は努力ではどうしようもないもののほうが多い。やってもできないことをやるのは無駄なだけではなく有害
- 言語能力、論理数学能力は少しだけ優れているだけで市場で高く評価されるが、それ以外の能力はものすごい能力(プロ野球選手とか歌手とか)がないと市場で評価されることはない
- 人はお金や快楽だけでは幸せになれない。幸せとは家族や仲間との強い絆や尊重、良い評判の中で実感される
- 言語能力、論理数学能力が低く市場で高く評価されないものが幸せを感じたいのであれば、どんな変なものでも自分が得意とするものを発表し、自分の感覚に似た人達から評価されるのがいい
- 仕事は創意工夫や重大な判断の必要の無い、快適で合理的なシステムで作られたマクドナルドでも良い。「好きを仕事に」したり、辛いのに無理してクリエイティブクラスの仕事をするよりも、好きな事はマクドナルドの仕事後にやり、それを感覚の似た人達に評価してもらう方が幸せになれる
アメリカでは貧困地域で肥満が増えて社会問題になっているという。
社会的な成功の方途をすべて奪われた人々が、安価で無尽蔵に手に入るジャンクフードを食べてつかの間の幸福感を得ているからだ。
限られた幸せの舞台を奪い合ったり諦めるのではなく、自分にも立てる舞台をさがして、そこで幸せを見つけましょうという内容。
6/07/2014