創作の極意と掟
筒井康隆
その名の通りの内容ではあるが、これ系の文章読本は得てして表面的でわかりやすい外枠をひたすら語るだけで創作そのものの核に迫ることがなく、結局「作家はやっぱり才能があるから作家なのだ」という感想しかだせないようなものばかりだ。
本書も例に漏れずほとんど外枠しか書いていないが唯一創作の核心に触れた章があるので、そこを読むだけでも価値がある。
「妄想」の章だ。
文章の作法ではなく、創作の方法がそこにはある。
どうして一般人はいくら小説を書こうと思っても書けないか、どういう人が作家になれるのか、隔たりというか、壁というか、何が違うのかが見えてくるだろう。
簡単にいうと、学校教育中に「まっすぐ優等生」だったり、少しでも変わった行動をするクラスメイトを皆と一緒に嘲る事をしていた者が作家になるのは難しいと思う。
「妄想」以外は文章の書き方ばかりで、実際にはかなりのレベルの作品が書けるようになった人じゃないと無意味。まあ、高品質な筒井康隆的創作のための書籍案内としてお楽しみくださいというところだ。
どうやら「着想の技術」という昔書いた書籍がこの「妄想」の部分を深く掘り下げているのだという。
そっちを読んだほうが良いかもしれない。
7/26/2014